外来で保護者の方によく聞かれます。
「そーですねー、半年で治ることもあれば2年くらいかかることもあるし、個人差がありますねー」
と答えるといつもかなり驚かれます。「えーっ、そんなにかかるんですか!」
それはそうですよね、だってお子さんは2歳くらいの子がとても多いです。
今まで生きてきた時間と同じだけかかるとは長すぎると感じるのも当たり前です。
子どもの便秘、実は侮れません。子どもは生まれてからどんどん、食生活や生活習慣が変化していきます。
母乳を飲んでたと思ったら、いきなり離乳食を始まり、その後、急にオムツを外されたと思ったら、次には学校で大の方に入ろうものなら変なあだ名をつけられてからかわれる。たとえ勇気を出して学校のトイレに入っても、見たこともない和式便所で排便などできるはずもない。そんなライフステージの目まぐるしい変化に翻弄される子どもたち。さらに食生活の変化で子どもの便が硬くなると、今度は排便の時にお尻が切れてしまいます。そうなると、排便するのが痛い子どもたちは全力で便が出ないように頑張ります。本人が足をクロスさせてでも便を我慢したり、部屋の隅っこで立ったままウンウンこらえたりします。その結果、さらに便は硬くなり、排便がどんどん苦痛になります。こうした悪循環に陥ることが、子どもの便秘では非常に多いので、その悪循環を完全に断ち切るためには長い期間が必要なのです。
一番厄介なのが、お尻の出口のそばにある硬い便です。これが出口に蓋をしていると、便意を感じにくくなります。普通は便がお尻のそばに来ると、センサーが働いて排便をしたくなるのですが、ずっと便があるとセンサーがバカになって働かなくなります。そうすると上からどんどん降りてきた便が出れなくなり、お腹が痛くなったり、排便の時にお尻が切れたりします。まず、便秘治療の初手としてはこの蓋をしている硬い便を浣腸をしてあげて取り除くことがお勧めです。ただ、子どもにとって浣腸は非常にストレスがかかるので、しっかりとお話をしながら、徐々に病院に慣れていってもらい、浣腸ができるようになるまで待つことも大事と思っています。
蓋が取れたら、その後は硬い便が出来にくいように飲み薬を使って治療していきます。便が軟らかくなっても、すぐにお薬をやめると、また硬い便に戻ってしまうこともとても多いです。子どもの便秘の再発率は非常に高いですし、成人にまで移行することもあります。一生の問題にしないために、保護者の方と子ども本人としっかり信頼関係を築きながら、便秘がなくなるその日までしっかりと伴走させていただきたいと思います。
すず小児科では便秘の診断に必要なレントゲンやエコーを備え、便秘でお困りのお子様のサポートをさせていただきます。話だけでも構いません。ぜひご相談ください。