クループが増えています

最近、外来で「ケンケン」という甲高い咳をよく聞きます。

病名はクループ症候群。咳の音が犬の鳴き声に似ていることで有名な病気ですね。

オットセイの鳴き声とも言われます。でもクループの語源は英語で「馬のように鳴く」。

聞こえ方は国内外で違うのだなと実感します。

6ヶ月から3歳ごろのお子さんに多く、ウイルスが原因で喉の奥に炎症が及ぶと腫れて狭くなり、特徴的な咳が出ます。ひどくなると息を吸うのが苦しくなり、喉の付け根が凹む陥没呼吸になることもあります。また夜に症状が悪化することがあり、悩ましい病気です。

原因はパラインフルエンザウイルスが有名です。インフルエンザと名前が似ていますが、違うウイルスです。残念ながら特効薬がなく、抗生剤も無効です。さらに迅速検査がないので、診断はPCR検査ができる施設に限られています。当院ではPCR検査ができませんので、検査ご希望の方には、必要に応じて近隣のクリニックにご紹介させていただきます。

クループの治療は喉頭のむくみを取るボスミンという薬剤の吸入をします。効果は一時的なため、ステロイドの内服をします。また、加湿や温かい飲み物などのホームケアも有効とされています。甲高い咳でお困りの時はぜひ、受診してください。

2025年05月31日