離乳食が始まってしばらくして、お母さんが娘さんのオムツを換えていると、お尻の穴の前の方に見慣れない「イボ」を発見。慌てて外来に来てご相談を受けることがあります。この「イボ」、原因は実は便秘なんです。
離乳食が始まると赤ちゃんの便は固くなってきます。赤ちゃんのお尻の皮膚は軟らかいので、うんちの時に皮膚が切れてしまうことがあります。これを「裂肛」と言います。いわゆる「切れ痔」ですね。切れては治る、また切れるを繰り返すうちに、その刺激で傷痕が盛り上がって「イボ」になります。これを「見張りいぼ」と言います。
つまり、この「イボ」はイボなのに「いぼ痔」ではなく「切れ痔」なんですね。子どもの血便の原因としても一番多いです。ちなみに大人で一番多い「いぼ痔」は「痔核」といってお尻の血流が悪くなってうっ血することで腫れてくるものです。
ということはお尻のイボの治療はどうしたら良いのか。そう手術ではなく、「便秘の治療」なんです。ブログや疾患紹介でも度々触れていますが、「便秘の悪循環」の原因の一つが裂肛です。「うんちが固くなる」→「お尻の穴が切れる」→「痛いからうんちをしたくなくなる」→「我慢する」→「お尻の穴の近くに固い便が溜まって蓋をする」→「お尻の穴が切れる」→以下繰り返しているうちに「お尻にいぼができる」という流れです。裂肛は女の子の方が多く、便秘も女児に多いのが原因とされています。しっかりと便秘のコントロールを行うとこの「イボ」も小さくなっていきますので、ご安心下さい。
便秘でお困りの子どもは浣腸を嫌がったりすることも多いと思います。すず小児科では子どもの心理にも十分配慮し、子どもにもしっかりとした説明を行い、苦痛を取り除く工夫を行なっております。手前味噌で恐縮ですが、うちのスタッフの子どもへの愛情は非常に深く、プレパレーションは院長から見ても素晴らしいものがあります。「プレパレーション」とは処置に対する子どもの不安や恐怖をできるだけ取り除くため、その子どもに合った方法で心の準備やケアを行い、環境を整えることです。すず小児科は「プレパレーション」をとても大事にしています。
便秘に限らず、子どものことでお悩みの際は、かかりつけ医として全力で対応しますので、なんでもお気軽にご相談ください。