健診、予防接種でご相談を受けることの多い出べそ(臍ヘルニア)。
それもそのはず、赤ちゃんの10人に1人は出べそと言われています。
でも、大人になったら10人に1人もいないですよね。
実は1、2歳までに9割のお子さんは自然に治っていくんです。
1−2ヶ月の頃は目立ってピンポン球のようにおへそが飛び出しているお子さんも
寝返りとかハイハイとかするようになり、腹筋が発達してくると、穴が閉じて飛び出さなくなることも多いです。
なので、昔は自然治癒に任せていました。
昔は「9割良くなるので、2歳になっても閉じなかったら手術しましょう」と説明していたものです。
でも、穴は閉じても、かっこいいおへそになるかどうかは実は別問題です。
飛び出している時期が長いと、皮膚が余ってしまい、カッコよくありません。かといって、穴が開いていないのに、手術もあまりお勧めできず、「大人になると形も変わってくるから、本人が気にするようになったら形成外科の先生と相談しようね」と逃げ口上を使っていたこともあります。
でも、15年ほど前から「綿球による圧迫療法」を導入してから、かなり大きな出べそも綺麗に治り、親御さんと「手術せずに済んだね」と感動することも多くなりました。
自分が鹿児島市立病院小児外科時代に恩師に習ったことは以下のとおりです。
・開始は1ヶ月半以降(赤ちゃんの皮膚は弱いため、あまり早いと皮膚がかぶれやすい)
・張り替えは2週間に1回、医師がする(責任を持つ)
・ご希望があれば親御さんに家庭でしてもらっても良い(ただし、一度実際にしてるところを見る)
・張り替えの2日前に自宅でお風呂でシールを剥がしてもらう(剥がすと皮膚が傷むので2日休ませて貼る)
・よくならないこともあるが、皮膚のあまりが少なくなるため、手術はやりやすくなるので意味があることを説明する
・半年過ぎるとあまり効果がない
小児外科時代から「出べそを綺麗に治したい」と治療に当たってきました。
今は色々なやり方がありますが、小児科に転科してからも恩師の教えを変えることはありません。
開業してよかったなーと思うのはちょうど2ヶ月にワクチンデビューで診察の機会があることです。
ワクチン前の診察では出べそも含め診察します。
個人的には、2ヶ月は圧迫療法開始の絶好のタイミングです。
出べそを見つけて自分が語り始めると、スタッフが素早く綿球と防水フィルムを持ってきてくれます。
出べそがご心配の方、ぜひご相談下さい。