子どもの苦手なもの代表・注射は大人でも嫌なものですよね。
そんな時にどうしてたかと言うと、お母さんを処置室から部屋から出して、子どもが暴れて危ないから「拘束帯」(体をしっかり固定する道具)でぐるぐる巻きにして、それでも暴れるから馬乗りになって・・・みたいなことを昔はしてました。でも小児に関わる医療従事者でこんなことをしたい人は本当はいません。誰だって子どもの権利を守りたいんです。
今回、すず小児科を開院させていただくにあたり、思い切って「拘束帯」を買いませんでした。その代わり、同じ理念を持ったスタッフにたくさん来てもらいました。うちでは注射や採血といった子どもにとって怖い検査を行う前に、看護師さんが子ども本人に年齢に合わせてわかりやすく説明します。また、おもちゃなどを使って気を逸らしたり(ディストラクション)、リラックスさせたり、注射の練習したり、病院らしくない安心できる環境にしたり、これらの準備を専門的な言葉で「プレパレーション」と言います。
また、プレパレーションの一環で、私たちはできるだけマスクをせず、子どもに笑顔を見せ、安心してもらうよう心がけています。
繰り返しになりますが、すず小児科には拘束帯はありません。その代わりプレパレーションがあります。
抑制しない医療は人手と時間がかかりますが、ぐるぐる巻きされず、自分でできたお子さまが自信満々に帰っていく姿は本当に嬉しいものです。我々は本気で子どもの権利を考え、子ども主体の医療を提供し、拘束・抑制を最小限にすることを誓います。
なお、安全面の観点から、拘束帯の使用を完全に否定する訳ではありませんし、マスクも必要な時は着用させていただきますので、今後とも何卒よろしくお願いします。