スタッフのお子さん(3歳)が幼稚園で腕を動かさなくなったとのことで受診しました。
「院長先生!こどもが腕動かさなくて主人が迎えに行ってます!どこかいい整形外科しりませんか?」
「多分、肘内障だと思うので、一度うちで診てみましょう!」
肘内障は2歳から6歳くらいのこどもに比較的多い病気です。
典型的には腕を引っ張った時に、肘の骨(橈骨頭と言います)が、包んでいる輪っかみたいな靭帯(輪状靭帯と言います)から抜けかけている状態(亜脱臼)を言います。
小さなお子さんはまだ靭帯の固定が十分じゃないので抜けやすいと言われています。
治療は整復で、外来で行えます。自分は前腕を内側に回しながら曲げていく回内法で整復することが多いです。
先ほどのスタッフのお子さんも外来で無事に戻すことができ、しばらくするとちゃんと腕を動かせるようになり、最後はハイタッチして帰って行きました。
しかし、身内の整復は緊張しますね。。。連れてこいと言った手前、失敗は許されません。
整復がうまく行った時に手に触れる「コリっ」っという感覚を感じた時はめちゃくちゃホッとしました。
開院してまだ半年になっていないですが、今回で3人目なので割といるもんだなーと思います。
受傷機転がはっきりしない時や、外観上腫れている時はレントゲンを撮って整形外科の先生にお願いした症例もありました。
大きな病院で勤務していた時と違って、いろんな疾患に対応しなければなりません。
今までご指導いただいた恩師の皆様に感謝申し上げながら日々謙虚に診療させていただきます。
普段から懇意にしている後輩から「先生、ブログさぼりすぎじゃないですか」と注意してもらいました。言い訳はしません。初心に立ち帰り、週1回の更新を目指していきます。
今日はこどもの血便について、思うところを述べたいと思います。
一言に血便といっても、いろんなタイプがあります。
赤ちゃんなのか、幼稚園生なのか小学生なのかなど年齢によっても違いますし、便の中に点々とついている血便なのか、全体が赤いのか、線になっているのかなどの性状の違いや、そもそも硬い便なのか、下痢なのかや、真っ赤な血液がついているのか、黒っぽい便なのかなど、さまざまな特徴から病気を予想して診断をしていきます。
診断に大変役に立つのが写真です。保護者の皆さんがスマートフォンで写真を撮って見せてくれます。医者になったころは紙カルテでポケベルも持たしてもらっていました。本当にいい時代になりました。
自分が血便のご相談をいただいた時に頭の中で考えていることをざっくりと言語化してみました。個人的にその場で絶対に見逃してはならないもの2つだけ赤にしました。もちろんどれも見逃したくないですが、この2つの疾患は時間勝負です。ここから身体所見やレントゲン、エコー、血液検査を使って絞り込んでいきます。
・裂肛・・・緊急性はない。一番多い。1歳すぎから3歳くらいの便秘の子が多い。硬い便の一部に真っ赤な血がついている。肛門の周りにいぼができる(見張りいぼ)。便秘がなくて血便だと他の疾患の可能性が高くなる。
・腸炎・・・緊急性はあまりないが原因によっては緊急。まあまあいる。腹痛だけの時は虫垂炎(盲腸)と見分けが難しい時がある。血便が多いのはウイルス性より細菌性。血便、下痢、腹痛がある時は便の培養検査を出す。「腸管出血性大腸菌(O−157含む)、サルモネラ、キャンピロバクターが血便の3大起因菌だよ」と研修医のときに教えてもらった言葉をずっと患者さんに説明してきた。O−157からのHUS(溶血生尿毒素症候群)という命に関わる病気の可能性がある。ほとんどが1週間以内によくなるが、緊急性があることもあるため、全身状態をしっかりと見ながら対応していく。
・リンパ濾胞過形成・・・生後半年までの母乳栄養の赤ちゃんにまあまあいる。黄色の便の中に赤い粘液状の点々がちょっとだけ混ざる。元気。「赤ちゃんはリンパが発達するから便が出る時にちょっとだけ血がでるんだよ」と若いころ習った。赤ちゃんの血便は怖いけど、これは大丈夫。オムツを持参してもらう。
・腸回転異常・・・超緊急。生後1ヶ月までの胆汁性嘔吐、血便は絶対にすぐに鹿児島大学病院小児外科(すず小児科から車で10分)に紹介する。可能性が高くないと思っても、様子を見ることは絶対にしないことにしている。時間が経つと腸が捻れて血流が悪くなり、腸が腐ってしまうことがあるため。腸が短くなるとその子の一生に関わる。
・腸重積・・・緊急。発症して24時間以内だと8割手術にならず高圧浣腸でいける。生後半年から2歳くらいのイメージ。嘔吐、いちごゼリー状の血便があったらすぐエコーして診断して紹介する。口側の腸がお尻側の腸の中に入り込んでしまう病気。よくあるエピソードは「1歳くらいのややふっくらした男の子が風邪のあとに腸のリンパが腫れて、体がうんちと間違って奥に送ろうとして、自分の腸が入り込んでしまう」というもの(医学的に正確ではない言い方です)。年長の子の場合は後で述べるメッケル憩室という腸のでべそみたいなものが原因になることもある。
・若年性ポリープ・・・緊急性はない。3歳から5歳くらいのイメージ。便の表面に赤い綺麗な一筋の血液が付着している。できる場所はお尻に近いことが多く、たまに排便の時にお尻から出てきてお母さんがびっくりして受診することがある。治療は内視鏡で切除なので後日紹介する。
・メッケル憩室・・・場合によって緊急性あり。手術の時にみると、小腸の一部がやきもちみたいに膨らんでいる。生まれる前の臍の緒と腸の間にあった卵黄管という組織の名残。2%くらいの人にあるようで、無症状のことが多い。たまに出血や腸閉塞で発症する。かなり大量の血が出て、保護者の方を驚かせる。腹痛で盲腸と思って手術したらメッケルだったということもあった。胃酸を分泌することがあり、出血の原因となる。シンチという検査で診断できることがある。治療は手術。紹介する。
・炎症性腸疾患・・・最近増えてきている。潰瘍性大腸炎、クローン病。10歳代が多い印象。「体重が減ってきた、夜中に腹痛で起きる、血液混じりの汚い下痢」は疑って鹿児島大学病院小児科に紹介する。
・IgA血管炎・・・緊急性があることもある。前はアレルギー性紫斑病と言われていた。
足が痛くてぶつぶつができて整形外科に行ったり皮膚科に行ったりする。めちゃくちゃお腹が痛くなることがあって紫斑が出る前だとわからなくて手術されることもある。お腹が痛い時はステロイドが効くので紹介して入院になる。
・消化管アレルギー・・・乳児期に多い印象。原因を突き止めるのが難しいので、まずは緊急性がある外科的な病気をしっかり否定してから疑ったらアレルギー専門の先生に相談する。
小児科、小児外科で学ばせていただいた経験をフルに使って正確に診断して緊急のこどもに正しい対応ができた時の喜びは得難いものがあります。ご紹介させていただく病院の先生方には本当に感謝しかありません。患者さんやご家族、病院の先生たちの負担を減らすため、日々しっかりと丁寧に診療していきたいと思います。
鹿児島市立東谷山保育園様から園医の依頼を頂き、早速健診させていただきました。
昭和27年に設置された歴史ある保育園からのご指名に身が引き締まる思いです。
60名の園児に会ってきましたが、さすが、すず小児科から2km圏内。
いつも来てくれているかかりつけのお子さんがたくさん!
年長さんはみんな自分でお名前を言ってくれて、終わったら「ありがとうございましたっ」
クリニックでママやパパと一緒の時より、少し大人に感じました。

創立59周年の谷山善き牧者幼稚園様から園医のご依頼を頂き、早速健診させて頂きました。
185名のお子さんがいらっしゃり、3回に分けて伺います。
みんな可愛らしくお利口さんに健診を受けてくれました。
中にはすず小児科のかかりつけのお子さんもいて、「あー、先生だー」と喜んでくれたりして感無量です。
開業してよかったなーと思う瞬間です。

開業して4ヶ月が経過しました。
ありがたいことにいまだに多くの方が、土曜日の午後は、業務の後にお祝いに来てくれます。
たくさんの飲み物の差し入れ、メダカのプレゼント、素敵なガラスのリスさん。。。
たくさんの人に応援していただき、感謝です。
今後ともよろしくお願いします。

第28回中山団地秋祭り(主催/中山団地町内会・あいご会)に協賛させて頂きます!
10月4日17時から20時30分に西平公園(メルヘンスポーツクラブ横)で開催されます。
地域の子供達に楽しんでもらいたいです。奮ってご参加下さい。


2025/09/23の南日本新聞「あんしん救急箱」に、臍ヘルニアについての記事を掲載して頂きました。
臍ヘルニアは自分のライフワークの一つでもあり、圧迫療法から手術までたくさん経験してきました。
1人でも多くの方に届き、出べそで悩むお子様、親御さんの助けになりたいと思い、自分なりに精一杯の思いを込めて書きました。
このような機会を与えてくださった関係者の方々、本当にありがとうございます。
また、私事ではありますが、初めて新聞に載って、両親がとても喜んでくれたことも嬉しかったです。

おかげさまで開業4ヶ月が経過しました。
LINEお友達も2000人を超え、多くの患者さんにきていただいております。
オープニングスタッフもとてもよく頑張って下さり、保護者の方からスタッフの接遇を
お褒めいただくことが多く、院長としてこんなに嬉しいことはありません。
患者さんが多くなっても、皆様にお褒めいただいているすず小児科の良いところをしっかりと維持していけるように、努めてまいります。
そのためにはやはりマンパワーが必要と思っていましたが、10月からスタッフも増員することができました。
この人手不足の中、たくさんの方にご応募いただき本当にありがとうございます。
これからもすず小児科をよろしくお願いいたします。

秋の健診の季節になりました。
園医として健診の活動のため、10月は一部臨時で診療時間を変更、休診させて頂きます。
10月4日(土)休診
10月8日(水)、14日(火)、15日(水)の午前中は12時までの受付となります。
なお、午後は通常通り、14時から診療開始となります。
ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
令和7年10月1日からインフルエンザワクチン接種を開始します。
小児科ですがご希望の方は、どなたでもご予約頂けます。
インフルエンザワクチンのご予約は、WebまたはLINEでお願いいたします。
18歳未満のお子さまは必ず母子手帳のご持参ください。
ワクチンの在庫状況などにより、ご予約を早めに終了する可能性がございます。
あらかじめお了承の上、ご予約をお願いいたします。
| 注射(不活化ワクチン) | 点鼻(生ワクチン) | |
| 対象年齢 | 生後6ヶ月以上 | 2歳〜18歳 |
| 接種回数 | 13歳未満は2回接種推奨 (2〜4週の間隔をあける) 13歳以上は1回 | 1回 |
| 金額 | 1回 3,000円 13歳未満は2回接種推奨のため 2回 6,000円 | 7,000円 |
| 接種方法 | 注射 | 両方の鼻腔に1回ずつ噴霧 (0.1mlずつ) |
| 持続効果 | 接種2週間後、4〜5ヶ月持続 | 接種2週間後、1年間持続 特に2歳から5歳の低年齢で効果が高い |
| メリット | 他のワクチンと同時接種が可能 | 痛みがない 受験生など長期予防効果がある(効果が1年間持続) 1回の接種で済む |
| デメリット | 注射のため痛みを伴う 12歳未満は2回接種 | 鼻閉があると効果減弱の可能性あり 接種できない方 (生ワクチンのため) ・妊娠中 ・免疫疾患 ・ご家族に免疫低下状態の方がいる ・重症喘息 ・ゼラチンアレルギー |
注射(不活化ワクチン)点鼻(生ワクチン)ともに有効です。それぞれメリット・デメリットありますので、状態に応じてご選択ください。点鼻(生ワクチン)の注意事項など下記をご覧ください。
予診票はこちらからダウンロードして印刷し必要箇所をご記入の上当日お持ちください。院内での時間短縮に繋がります。予診票の事前記録にご協力ください。お忘れ、印刷不可の場合受付にも予診票ご用意しております。
点鼻(生ワクチン)予診票
注射(不活化ワクチン)予診票