お子さまの体調不良は突然起きるものです。発熱、咳や鼻水などの風邪症状、何が原因か分からない体調不良など、いつもと違うなと心配な時は、いつでも受診ください。お子さまの様子を一番近くで見ているお母さんやお父さんのお話をしっかり伺い、正確な診断に努めます。生まれたばかりの赤ちゃんの診察にも対応いたしますので、いつでもお気軽にご相談ください。
発熱
発熱は小児科の受診理由で最も多い訴えの一つです。熱を出す病気は非常に多く、熱の出始めは何が原因かわからないことも少なくありません。
実は小児の発熱の原因の80~90%はウイルス感染症で、通常であれば3日以内に熱が下がることが多いです。逆に4日以上熱が持続すると違う原因の可能性が高くなります。
安静にしているときにわきの下で体温を測り37.5度以上を発熱とするのが一般的ですが、おうちが暑かったり運動や食事の後は病的な発熱ではないこともあります。38度以上はほぼ確実に病的な発熱といってよいでしょう。
高熱が続くと脳がダメージをうけるのか?
41度以上の発熱で脳や臓器が障害されるのですが、実は感染症による発熱は脳が体温を調節しているので、ストッパーがかかり、41度以上にはならず、脳に障害がおこることはありません。41度以上になる病気としては熱中症や中枢神経障害が挙げられます。
注意すべき発熱はどんなもの?
発熱は高さより、元気があるか、水分がとれているか、他にどのような症状があるかが重要になります。3か月未満の赤ちゃんの発熱はまだ免疫が未熟だったり、予防接種前だったりで、髄膜炎や尿路感染といった重症な感染症が隠れている可能性があるため、すぐに小児科を受診したほうが良いでしょう。基本的には入院で検査と治療をお勧めすることが多いです。重症感染の兆候には、ぐったりとして元気がない様子、視線が合わない、周囲の状況に興味を持たない、顔面が蒼白になる、呼吸が不規則だったり速かったりといった症状があります。そういったときは3か月以上のお子さまでも早めに小児科を受診するとよいでしょう。また、5日以上続く発熱や40度以上の高熱、強い頭痛や腹痛、基礎疾患のあるお子様の発熱にも注意が必要です。
赤ちゃんや子どもは自分で症状を伝える事が難しいです。お母さん、お父さんをはじめとする保護者の方々が「いつもと様子が違う」と感じたらお気軽に受診してください。
インフルエンザ
突然高熱がでてぐったりします。のどの痛みや頭痛、筋肉痛も見られます。ほぼ同時か少し遅れて咳や鼻水が出てきます。
ウイルス迅速検査キットで診断が可能ですが、発症後すぐに検査したときはインフルエンザであっても陰性になるとこがあります。そのため、流行期に典型的な症状が出ていれば、検査を行わないこともあります。
発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬を使用すると、治るまでの時間が短くなります。
けいれんを起こしたときは、(難しいとは思いますが)慌てず救急車を呼んでください。
また、インフルエンザの時はお薬の種類や飲んだか飲んでないかに関わらず、急に走り出す、幻覚などの異常行動が見られることがあります。事故を予防するため、発症後2日間は少なくともお子さまを一人にしないようにしましょう。
登園、登校の基準は難しいです。まず発症日を0日とします。5日までは登園、登校はできません。また、熱が下がって2日(幼児は3日)経っていないときも出席停止です。受診の際にパンフレットをお渡しして説明させていただきます。
RSウイルス感染症
RSウイルスの感染による呼吸器の感染症で、小さい子は入院することも多い怖い病気です。一度かかったら二度とかからない病気もありますが、RSウイルスは何度も感染を繰り返します。1歳以下で半数以上、2歳までにほぼ全員が感染します。以前は冬に流行していましたが、今は夏でも流行がみられるようになりました。
どんな症状がでるの?
熱や鼻水、咳といった軽い風邪のような症状から重い肺炎まで様々です。注意しないといけないのは、小さいお子さま(6か月未満)や、初めてかかった時(初回感染)で、重症化しやすいといわれています。
初めてかかったお子さまも7割は鼻水だけといった軽い症状ですみますが、3割のお子さまは咳がひどくなり、喘息のように息が苦しくなります。ひどくなるとだんだん悪くなって、1週間くらいで症状のピークを迎えることがあります。
特に生まれて一か月経っていない赤ちゃんは呼吸をしなくなることもあり(無呼吸発作)、小さいお子さまにとっては非常に怖い病気です。何回も感染を繰り返しているうちに、あまり重症にならなくなります。
機嫌がよく、つらそうでなければ慌てて受診することはありませんが、呼吸が苦しそうだったり、食事や水分がとれなくなったりしたときは小児科を受診してください。
治療法はどんなのがあるの?
残念ながら特効薬はありません。抗生剤も効果がないため、症状を和らげる治療を行います。飲めなければ点滴、息が苦しければ酸素、鼻が詰まったら吸引、痰が切れないときは痰切り、熱が出れば熱さましの薬を使います。点滴や酸素が必要な時は1週間程度の入院になることが多いです。
どうやって予防する?
実はご両親やお兄ちゃん、お姉ちゃんが保育園などでRSウイルスをもらってきて、本人は鼻水だけで元気なのでそのまま手洗いやマスクをしないで赤ちゃんのお世話をしていたら赤ちゃんがRSウイルスになっちゃった・・・というケースをよく経験します。おもちゃやドアノブなどにもついていて感染するし(接触感染と言います)、咳や鼻水からでもうつるし(飛沫感染と言います)、そもそも全員がかかって初回が重い症状が出るので、なかなか予防は難しいのが実際です。小さい赤ちゃんがいるご家庭ではRSが流行っているときはできるだけ気を付けるしかないのですが、もしなってしまっても仕方ないのでご自分を責めたり、ご兄弟を叱ったりしないようにしてください。はやく症状が良くなるように我々が全力でサポートします。
アデノウイルス感染症
以下に示すようにさまざまな症状があります。臨床的には川崎病との見分けも大事になります。
- 咽頭・扁桃炎:39~40度の高熱が4~5日続き、のどの痛みがあります
- 結膜炎:目も赤くなり、目やにがでます
- 胃腸炎:下痢、吐き気、腹痛を伴うことがあります
結膜炎のみであれば「流行性角結膜炎(はやり目)」と呼ばれます。
眼の症状だけではなく咽頭・扁桃炎がある場合は「咽頭結膜熱(プール熱)」と呼ばれます。
残念ながらアデノウイルスに効く薬はありません。
結膜炎があるときには腫れを抑える薬や、細菌感染症予防の目薬を処方することがあります。
こまめに手洗いをして、タオルの共用は避けてください。
登園、登校については、流行性角結膜炎は感染の恐れがなくなってから2日間、咽頭結膜熱も熱が下がり結膜炎の症状がおさまってから2日間出席停止となります。
5日以上熱が続いたり、水分もあまりとらずおしっこが12時間以上でないようなとき、元気がなくぐったりしているときはもう一度受診をお勧めします。
目を痛がるとき、いつもに比べて光をまぶしがるとき、見え方がおかしいときもご相談下さい。
EBウイルス感染症(伝染性単核球症)
小さい子は感染しても無症状のことが多く4歳未満は稀です。15〜19歳が最多です。
急に高熱が出て、のどが痛くなったり、首のぐりぐり(リンパ節)が腫れたりします。
高熱は数日間、ときには一週間以上も続き、全身に発疹がでたり、目の周りがむくんだりします。また、肝臓や脾臓が腫れたり、肝臓の働きが悪くなったりすることもあります。
ぐったりしてくるときは入院が必要になることもあります。
残念ながらEBウイルスに効く薬はありません。
自宅安静で熱が下がり、食欲も戻れば登園、登校が可能となります。
5日以上熱が続いたり、水分もあまりとらずおしっこが12時間以上でないようなとき、元気がなくぐったりしているときはもう一度受診をお勧めします。
手足口病
手のひら、足の裏、口の中に小さな水ぶくれができる病気です。お尻や肘、膝にできることもあります。痛みや痒みがあったり、口の中が痛くて食べられないこともあります。治ってから一か月くらいして爪が割れたりはがれたり、指の皮がむけたりすることもあります。
原因のウイルスはさまざまなので、かかったことがあっても何回もかかることがあります。
原因のウイルスに効果がある薬はありません。水分をしっかりとってください。熱いものやすっぱいものはしみるので避けて下さい。冷ましたお味噌汁やスープ、リンゴジュースなどがお勧めです。水分があまりとれずぐったりしているときは点滴が必要になることもあります。
4日以上熱が続くときは川崎病という病気との見極めが大事になりますので、発熱4日目には医療機関を受診することを強くお勧めします。
便秘
「お腹が痛い」「お腹が張る」「吐き気」「機嫌が悪い」「ウンチをする時にいきむ」「便に血がついている」「おねしょ」「ウンチが漏れた」「集中力の低下」「ゲップが多い」「お尻が赤くなっている」そんな症状があれば、もしかしたらお子さまは便秘かもしれません。
便秘の治療開始が遅れると、良くなるまで長く時間がかかり成人まで持ち越してしまうこともあります。
ぜひ小児科を受診してご相談下さい。
便秘になりやすい時期
離乳食を開始した時
水分が足りなくなったり、腹筋が弱いため便秘になりやすいです。
この時期は肛門刺激(いわゆる綿棒浣腸)などが有効です。
2〜3歳
トイレットトレーニングの時期に何かのタイミングで「ウンチが痛い」「トイレが怖い」と 思ってしまい、排便を我慢しすぎてしまうことで便秘につながります。こうなると大変で、中には足をクロスさせてでも排便を我慢する子もいます。
便秘の治療が順調に進むと「ウンチ=苦痛」から「ウンチ=気持ちいい」に変化してオムツが外れていきます。
小学校入学時
朝食事をして学校に行くまでの時間が短いと排便の時間が足りなくなります。また小学校になると時間割や、友達の目が気になったり、慣れない和式便所など、環境が大きく変わるため真面目なお子さまほど排便を我慢することがあります。
この時期は早寝早起き、朝食は必ず食べると言った規則正しい生活習慣を身につけることが有効です。
便秘治療
- 便秘で辛い思いをしているお子さま、保護者の方に寄り添います。
- お尻にフタをしている硬いウンチ(便塞栓)を浣腸などで取り除きます。
- 便を軟かくする飲み薬を使ってお尻のフタを作らないことで、「ウンチ=怖い」を「ウンチ=気持ちいい」に変えます。
- 便秘を再発させないため、便をお腹に溜め込まなくなったことを確認してから徐々に薬減らしていき、最終的に飲み薬を完全に中止します。
急性胃腸炎(嘔吐下痢症)
ウイルスや細菌に感染して、嘔吐、下痢、腹痛などの症状を起こします。
吐くのは最初の1~2日が多く、熱が出ることもあります。その後は下痢になり、多くは1週間程度でよくなります。
- ウイルス性:ロタ、ノロ、アデノといったウイルスが有名です。抗菌薬は効果がなく、むしろ腸内細菌のバランスを壊してしまうため下痢を悪化させるなど悪さをすることがあります。
- 細菌性:カンピロバクター、病原性大腸菌、サルモネラなど、激しい腹痛や高熱、血便がでることもあります。
水分補給が重要です。はじめは経口補水液(OS-1など)や母乳(ミルク)を5分おきに5-10ml(スプーン1杯、ペットボトルのキャップ1〜2杯)ずつ飲ませていきます。ミルクを薄める必要はありません。3時間以上嘔吐がなければ自由に飲ませてみましょう。食事が出来るようになったら経口補水液はやめてよいです。
吐き続けるときや脱水症状が強いときは点滴や入院が必要になることがあります。
脱水症状が強くなると、泣いても涙が出なかったり、眼がくぼんで見えたり、口の中や舌が乾く、皮膚が冷たかったり色が悪い、おしっこが半日でないなどの症状がでることがありますので、こんな時はぜひご相談ください。
また、吐いたものが緑色の時やお腹を強く痛がるとき、血便が出た時などは、重症だったり、ほかの大きな病気が隠れていることがあります。精密検査を行いますので、ぜひ受診をお願いします。予約枠がいっぱいでも直接来院していただいて、状況をお伝えください。可能な限り対応します。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
耳の下(耳下腺)が腫れる病気はおたふくかぜだけではありません。腫れはじめに診断するのは難しいこともありますので、別の日に再診していただくこともあります。後発年齢は小学校低学年までの子どもで、3~6歳が6割を占めます。特効薬はなく、感染力も強いため、腫れ始めて5日間は学校も出席停止です。
基本的には自然によくなりますが、怖い合併症として無菌性髄膜炎があります。その時は強い頭痛があり、何度も嘔吐することがあるので、ぜひ受診をしてください。適切な入院施設をご紹介します。また、思春期では精巣炎や卵巣炎の合併も有名です。20,000人に1人と非常にまれですが、難聴になることもあります。また、これも稀ですが膵炎になっておなかが痛くなることもあるといわれています。
このようにかかると怖い病気なので予防が大事です。予防接種は任意接種のため、自己負担がありますが、鹿児島市にお住いの方は、1歳から2歳までに1回目、5歳から7歳(年長)までに2回目の接種に対して1回4,000円の補助が受けられるため、負担が軽くてすみます。
はしか(麻疹)
はしかは、はじめの2〜4日は風邪のような症状で、この時期に診断するのは非常に難しいです。いったん熱が下がり、その後39度以上の高熱と全身に発疹が出ます。
感染力が非常に強く、以前は日本でも大流行が起きていました。平成20年を最後に大流行は日本では起きていませんが、海外からの持ち込みの報告もあり、まだまだ油断できません。
肺炎、中耳炎を合併しやすく、1000人に1人は脳炎になったり、命にかかわります。また、治った後も10万人に1人と数は少ないですが、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という重い中枢神経疾患を発症することもあります。
海外に行ったり、海外に行った人と接触があった後に、このような症状があったときは、ぜひ受診をお願いします。受診方法が違いますので、可能でしたらご予約の時にweb問診で「海外渡航歴または接触あり」にチェックをお願いします。
診断がついた場合は、熱が下がってから3日間経過するまでは出席停止です。
風疹
感染すると、発熱や発疹、リンパ節の腫れなどの症状がでます。赤くて小さな発疹が体中にでますが、3日くらいで消えます。子どもは大人に比べて比較的症状は軽いのですが、まれに脳炎や血小板減少性紫斑病などの合併症が2,000~5,000人に1人くらいの割合で発症することもあるので要注意です。年長児や思春期のお子さまでは頭痛や関節痛が見られることがあります。熱が下がって、発疹がすべて消えるまで出席停止です。
妊婦さんに近づかないで!
妊娠初期に風疹にかかると、生まれてくる赤ちゃんの目や耳、心臓に病気を起こすことがあります。妊婦さんや妊娠しているかもしれない方には近づかないようにしましょう。
ヘルパンギーナ
発熱とともに、のどの痛みと水疱が現れる「夏かぜ」の一種です。
5歳以下が90%を占めます。
38〜40度の高熱が2-3日続き、のどの奥に小さな水ぶくれができて痛いので、食べられなくなります。ひどいときは水分も飲めなくなり、脱水症になることがあります。残念ながら原因のウイルスに効く薬はありません。
一般的には2〜3日でよくなりますが、合併症として熱性けいれんや脱水症、まれですが髄膜炎や心筋炎に注意が必要です。
4日以上高熱が続くときや水分をあまりとらず、ぐったりしているときはもう一度受診してください。
熱が下がって元気で普段の食事がとれるときは登園・登校できます。
クループ(急性声門下喉頭炎)
さまざまなウイルスが原因となり、のどの奥の声を出すところあたり(声門下)が腫れて、オットセイのような咳がでます。(犬が吠えるような声ともいわれます)
声がかすれたり、でなくなったりします。
のどの腫れがひどくなると息を吸うときに苦しくなり、ヒューヒュー音がします。
子どもはもともと、大人と比べて声門下が狭く、風邪をひくと粘膜が腫れて分泌物も増えるため、さらに狭くなって空気が通りにくくなります。
抗生剤が無効なことがほとんどで、アドレナリンという薬の吸入やステロイドの飲み薬で、のどの腫れを抑えます。
ご自宅では加湿を心がけてください。冬であれば外に出て冷たい空気を吸うと落ち着くこともありますので散歩を試してもよいかもしれません。
軽い場合は1~2日でおさまりますが、いったん落ち着いても夜にまたひどくなりやすく、小さいお子さまや息苦しさが強いときは入院することもあります。また、原因がクループと思っていたら気道異物だったり、違う大きな病気だったりすることもありますので、息苦しそうになったときや強い咳で眠れないとき、水分をあまり飲まないときは受診をお勧めします。
百日咳
最初は普通のかぜと変わりません。次第に咳が多くなり、顔を真っ赤にして激しくせき込むようになります。生後6か月以下の赤ちゃんは咳で息ができなくなり、入院することも多い怖い病気です。ワクチンを接種していても、4歳を過ぎると効果が落ちてきてかかってしまうこともあります。小さなきょうだいがいる家庭では要注意です。家族の中でうつることが多いので、咳が出ていれば受診しましょう。診断がついたら登園、登校については特有の咳がなくなるか、有効な抗菌薬による治療が5日間終了するまでは出席停止です。
川崎病
「川崎病」という病気をご存じでしょうか。
実は日本の小児科医が発見した、大変有名な病気でもしかしたらお耳にしたことがあるかもしれません。ポイントをまとめます。
小さい子に多い
1歳がピークです。4歳以下が85%で、少子化にも関わらず増え続けています。世界で見られますが、特にアジア人に多い病気で、多い年はあります(流行はある)が、うつりません(伝染性はない)。原因が分かっておらず、例えばインフルエンザのような検査がないので、小児科医の診察を受けることが重要です。
いろいろなところが赤くなる
多くの場合、発熱が5日以上続きます。普通の風邪なら2、3日でよくなることが多いので、発熱してから4日目は川崎病じゃないか小児科を受診すると安心です。また、保護者の方に覚えていただきたいのが「赤くなる」という点です。川崎病は全身の血管に「炎症」を起こす病気なので、目が赤くなったり、口や舌が赤くなったり、手足が赤くなったり、体に赤いぶつぶつができたり、BCGの跡が赤くなったり、おへそが赤くなったりします。それぞれ一つ一つなら普通の風邪でもあり得る症状なので様子を見てしまいがちですが、複数の症状が出てくるとき(いろんなところが赤くなる時)は川崎病かもしれません。
心臓に悪さをする
川崎病の一番怖いところです。先ほど、「全身の血管に炎症を起こす」と言いましたが、実は心臓の血管にも炎症を起こします。心臓の血管が炎症の影響で脆(もろ)くなると、心臓は全身に血液を送るため血圧が高いので耐え切れなくなって風船のように膨らんでしまうことがあります。これを冠動脈瘤といいます。一度膨らんだ血管をもとに戻す治療はなく、大人になってから破裂して命に係わることもあります。なので、早期に診断し、治療を開始して心臓の血管にこぶ(瘤)を作らないようにすることが大事です。子どもたちの将来を守るため、いろんなところが赤くなってきて熱が続くときは4日目までに小児科でご相談ください。
熱性けいれん
熱性けいれんは主に生後6か月から60か月(5歳)頃の子どもに見られ、38度以上の熱が出て間もなく起こるとなることが多いです。
症状
熱性けいれんの症状には以下のようなものがあります。
- 意識がはっきりしない
- 全身や手足のつっぱりやガクガク
- 目の焦点が合わない、白目をむく
- 嘔吐や失禁
発作は通常、5分以内に収まり、意識が戻ることが一般的です。(単純型、軽症)
発作の持続時間が15分を超える場合や、発作を24時間以内に繰り返す場合は注意が必要です。(複雑型、重症の可能性あり)
基本的には後遺症はないことが多く、脳に深刻な影響を及ぼすことは稀ですが、発作が長引く場合は医療機関での治療が必要になります。
対処法
発作が起きた時は子どもを横向きに寝かせ、吐いたものを詰まらせないようにします。
また、発作が5分以上続く場合や意識が戻らないときは救急車を呼ぶようにとされています。ただ、発作が始まった段階では発作が長く続くかは判断できませんし、本当にけいれんが止まっているかはご家族の方では判断が難しいこともあります。発作が始まって5分待たなくても迷ったらすぐに救急車を呼んで構いません。また、発作が始まった時間がわかると治療に有益な情報ですので余裕があれば時間の確認をお願いします。お子様がけいれんを起こすとご両親をはじめとする保護者の方はとても不安で心配なことと思います。おうちが近ければそのまま当院に駆け込んでもらって下さい。一秒でも早くけいれんを止めるために全力で対応します。
突発性発疹
生後6か月から2歳くらいまでのお子さまがよくかかる感染症で、原因はヒトヘルペスウイルス(6型、7型)です。
突然高熱を出して3〜4日続き、初めての熱のこともあるので親御さんの不安は相当だと思います。咳や鼻水はあまり出ず、便が緩くなることがあります。
熱が下がってだいたい1日以内に体中に淡い発疹が出て、その後熱が出ることはありません。発疹が出て初めて診断がつきます。発疹は2〜3日で薄くなって消えます。
熱が下がってから機嫌が悪くなることがありますが、数日でおちつきます。
ヒトヘルペスウイルスに効く薬はなく、自然に治るまでは症状を緩和する解熱剤で経過をみることが多いです。感染しても比較的元気な子が多いですが、5日以上高熱が続くときや、元気がなくぐったりしているとき、水分がとれていないときは受診をお勧めします。また、初めて熱性けいれんを起こすことがあります。すぐ止まらないときはためらわず、救急車を呼びましょう。