小児外科
このような症状は当院の小児外科へご相談ください
  • 足の付け根に違和感がある
  • お尻にできものがある
  • でべそが気になる
  • 肘が外れてしまった
  • 貧血気味である
  • 便秘や下痢が治らない
  • けがの手当てをしてほしい
  • とげが刺さって取れない
  • おちんちんの先が赤くなっている
  • おしっこの時に痛がる
小児外科

急性虫垂炎

いわゆる「盲腸」です。実際には盲腸(おなかの右下)の近くにある「虫垂」に炎症が起きた状態です。
イメージとしては小学生、中学生に多い病気で、幼稚園のお子さまは割と少ない印象です。

症状

有名な症状としては「右下腹部痛」といい、おへその右下のあたりが痛くなります。
ただ、子どもの場合はうまく症状を伝えられなかったり、はじめは「いつもより元気がない」「機嫌が悪くぐずつく」「食欲がない」などのほかの症状で発症することもあります。
そして、時間が経つと腹痛のほかにも、熱が出たり、嘔吐をしたりといった症状が出てくることがあります。おうちでは横になって膝を曲げてあまり動きが少ないことが多いですので、そんな時はぜひ小児科を受診してください。診察室に入ってくるときに「前かがみで歩くのもつらそう」な時は虫垂炎の可能性を考えながら診察をしています。

診断

虫垂炎は非常に有名な病気なのですが、実は子どもの場合、はじめは症状が胃腸炎と似ているため、診断が難しいことが多いです。診断が遅れて時間が経つと、虫垂が破れてお腹の中で膿(うみ)の塊(膿瘍)を作ったり、膿がお腹に広がって腹膜炎になったりします。すず小児科では採血で炎症反応を確認したり、超音波検査(エコー)で虫垂が腫れていないかチェックすることで、病気が進行して重症化してしまう前に正確に早期診断をするように心がけています。

治療

虫垂炎は原則入院で治療をします。治療は手術が有名です。今は腹腔鏡といって小さな傷からカメラをいれて傷跡が目立たない手術を行う施設が多くなっています。炎症がそこまで進行していなければ、抗生剤や点滴を使って治療することもあります。俗に「盲腸を薬で散らした」と言われるものです。子どもの手術専門の小児外科の先生に速やかに紹介をしますので、安心して受診してください。

鼡径ヘルニア

「そけい」ヘルニアと読みます。いわゆる「脱腸」です。ヘルニアというのは腰のことを思い浮かべる方も多いかと思います。もともとヘルニアには「飛び出す」という意味があり、鼡径は足の付け根のことを指します。赤ちゃんがおむつ交換で泣いているときに「おまたが腫れている」ことに母親が気づき受診することが多いです。子どもの1-5%に認めるといわれており、クラスに一人はいることが多いと説明しております。

症状

鼠径部が膨らみます。赤ちゃんが泣いて力が入ると目立つことが多いです。
ふくらみをそっと押したときに軟らかく感じるときは、飛び出しているのはお腹の中にある腸のことが多いと思います。軟らかいときは慌てず、小児科を予約して受診していただくとよいでしょう。ふくらみが硬かったり、戻らないときや、機嫌がずっと悪いとき、嘔吐を伴うときはもしかしたら嵌頓(かんとん)かもしれません。これは腸がヘルニアの出口で締め付けられている状態のことで、放置すると腸の血流が悪くなり、腸が腐ってしまうこともあります。早めに腸の飛び出しを戻す必要があるため、急いで病院を受診してください。

治療

治療法は手術で、1.鼠径部の皮膚を2㎝くらい切開して袋を縛る手術と、2.腹腔鏡でお腹の中を見ながら行う手術の2通りの方法があります。子どもの手術専門の小児外科の先生に速やかに紹介をしますので、安心して受診してください。手術方法について十分説明を受け、手術を選択することができます。鹿児島では2泊3日で行われることが多いです。

腸重積症

腸重積症とは、口の方の腸がお尻の方の腸の中に入り込んでいってしまい、通りが悪くなってしまう(腸閉塞)病気です。小腸の終わりの部分が大腸の入り口から入り込むことが多いです。腸のリンパ組織が風邪などのウイルス感染によって腫れたり、小腸のできものが原因になることがあります。この病気の怖いところは、治療が遅れると腸の血の流れ(血流)が悪くなって腸が腐ってしまい、菌が全身に回って命に係わることもあることです。なので早期に診断して治療する必要があります。

有名な症状

有名な症状は以下の3つです。
  • 間欠的腹痛
  • 嘔吐
  • 粘血便
腸重積は3か月から2歳未満のお子さまによくみられます。自分が研修医のころは、「1歳、元気な男の子の風邪の後に多い」と習いました。腸が動いているときが痛いので、波がある痛みが有名です。また赤ちゃんは自分で痛いといえないため、機嫌が悪いだけのこともあります。診察室の外ではすごく機嫌が悪いのに診察の時にはけろっとしていることもあるので、診察室の外の音にも耳を澄ますようにと言われたものです。(なかなか難しいのですが・・・)これを専門用語で「間欠的腹痛」と言います。これが有名な症状の1つ目です。
また、腸が入り込んでいるため、食べ物が便になって腸を通過できない(腸閉塞といいます)ので、「嘔吐」が見られることも多いです。これが2つ目の有名な症状です。嘔吐はひどくなると透明な胃液ではなく濃い緑色や茶色の嘔吐をすることもあります。これは「胆汁性嘔吐」と言われ、腸閉塞を疑う症状なのですぐに病院を受診することをお勧めします。
さらに症状が進むと顔色が悪くなり、血液が混ざったねっとりしたイチゴゼリーのような便を認めるようになります。これが粘血便と言われる有名な3つ目の症状です。
ただ、3つ全部症状がそろわないことも多いので、どれか一つでも気になる症状があれば、積極的に小児科を受診していただければと思います。

診断にはエコーが役に立つ

まずは保護者の方のお話が大事です。特に吐いたものやイチゴゼリー状の便の写真を撮って持ってきてもらうと非常に参考になります。
お腹をよく触ると、腸が入り込んだところがソーセージのような塊として触ることができることがあります。また超音波検査(エコー)を行うと、腸が重なり合ったところを見つけることができて診断に役に立ちます。

治療は早ければ手術にならないことも多い

腸がはまり込んでいるのなら手術じゃないと治せないのでは?と心配になると思います。実はこの病気は、かかってから24時間以内であれば、8割はお尻から空気やレントゲンに写る液体などを入れることで圧を加えて(高圧浣腸)腸を元の状態に戻すことができます。これを「整復」と言います。手術を避けたり、おなかや腸を切らなくて済むことも早期診断の大きなメリットです。赤ちゃんが不機嫌な時は、ぜひお気軽にご相談下さい。