最近、外来で「ケンケン」という甲高い咳をよく聞きます。
病名はクループ症候群。咳の音が犬の鳴き声に似ていることで有名な病気ですね。
オットセイの鳴き声とも言われます。でもクループの語源は英語で「馬のように鳴く」。
聞こえ方は国内外で違うのだなと実感します。
6ヶ月から3歳ごろのお子さんに多く、ウイルスが原因で喉の奥に炎症が及ぶと腫れて狭くなり、特徴的な咳が出ます。ひどくなると息を吸うのが苦しくなり、喉の付け根が凹む陥没呼吸になることもあります。また夜に症状が悪化することがあり、悩ましい病気です。
原因はパラインフルエンザウイルスが有名です。インフルエンザと名前が似ていますが、違うウイルスです。残念ながら特効薬がなく、抗生剤も無効です。さらに迅速検査がないので、診断はPCR検査ができる施設に限られています。当院ではPCR検査ができませんので、検査ご希望の方には、必要に応じて近隣のクリニックにご紹介させていただきます。
クループの治療は喉頭のむくみを取るボスミンという薬剤の吸入をします。効果は一時的なため、ステロイドの内服をします。また、加湿や温かい飲み物などのホームケアも有効とされています。甲高い咳でお困りの時はぜひ、受診してください。
水いぼって悩ましいですよね。7歳以下の小児によくみられる、伝染性軟属腫ウイルスが原因の皮膚の病気です。ウイルスが小さな傷や毛穴から入り込んで、増えていき、いぼになります。厄介なのが、どんどん増えていき、接触すると人から人にもうつるというところです。
治療法は①「とる」 ②「経過を見る」
の2択で意見が分かれるところです。①「とる」はトラコーマ鑷子という特殊な器具でとってもらいます。麻酔のテープを貼って痛くないようにしてからとる方法です。メリットは治療効果が確実で、治療期間が短くてすみます。弱点は、やはり子どもにとっては痛いし、怖いし、抑えつけられるし。。。ですね。個人的には数が少ないうちだと有効な治療法と思います。すず小児科には特殊な器具もなく、体を押さえつける道具(拘束帯)もないので、「とる」ご希望の方には、皮膚科をお勧めしております。皮膚科の先生でも「とる派」「とらない派」で分かれているようです。
②「経過を見る」は根気が必要です。免疫がつけば自然に治るのですが、自然治癒には、なんと6ヶ月から3年かかると言われており、個人差も大きいです。小児科ではヨクイニンというイボ治療では有名な漢方を使って治療することもあります。
ということで、今までは強制的に小児科では②「経過を見る」の選択肢しかなかったのですが、最近③「クリームを塗る」という選択肢が出てきたのでご紹介します。その名は「M-BFクリーム」。強い抗菌作用を持つ銀イオンを配合したクリームです。人体には非常に安全で、塗ると2週間から2ヶ月で水いぼが赤くなってきます。その後、うまくいけば1ヶ月で水いぼが消えていくとのことです。治療期間平均は2−3ヶ月。もちろん長いんですが、自然治癒の6ヶ月から3年に比べると短く感じます。弱点は保険が効かないので自費になります。税込2200円になります。診断後、医師の指示のもと、薬局で購入していただきます。

さて、表題の件です。結論から申しますと、プールの水ではうつらないので、入っても構いません。とはいえ、接触でうつるので、水いぼのある部位は覆っておいた方が無難かもしれません。また、タオル、浮き輪、ビート板などを介してうつることはあるので、共用は避けましょう。プールの後はシャワーで肌をキレイに洗って、しっかり保湿しましょう。
夕方、受付のスタッフが困った顔をしています。
「院長、東京から昔からの知り合いだという方が来られているのですが、どうしましょう?」
「はて、今日はお約束はなかったはずだけど」と思いながら受付に行ってみると、懐かしい顔がありました。
10年以上前になりますが、一緒に仕事をしていた同僚が、鹿児島に仕事できており、時間が空いたためサプライズで来てくれたのでした。
その後、会食させていただきましたが、出世して偉くなっているのにフラットに接してくれる友人の存在が本当にありがたいです。
開業にあたり、本当に色んな人に支えられて今の自分があることを感じます。
このご縁を大切にしたいと思う今日この頃でした。
小児外科医100人に聞いたら全員が同じ答えになるかもしれません。
それは「鼠径ヘルニア」です。そけいと読みます。子どもの20人に1人と言われています。
『え?もうちょうじゃないの?』と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
National Clinical Database(NCD)の報告によれば、2020年の日本での16歳未満の小児の手術で、虫垂炎(もうちょう)の手術数は7,798例、鼠径ヘルニア関連は14,980例で、なんと鼠径ヘルニアの手術は虫垂炎の手術の倍近くありました。
「え?ヘルニアって腰じゃないの?」と思われる方も多いかと思います。
実はヘルニアの語源はラテン語で「突出、膨らみ」という意味から来ています。
簡単に言えば「飛び出す」ですね。
腰の椎間板が飛び出す腰と「腰椎椎間板ヘルニア」、臍が飛び出すと「臍ヘルニア」、俗に出臍など、ヘルニアとつく病名は他にもたくさんあります。
鼠径ヘルニアは昔はよく「脱腸」と呼ばれていました。「鼠径から腸が飛び出る」ですね。
じゃあ鼠径ってどこを指すのかですが、おまた、足の付け根のところを指します。
医学生のとき、コマネチの時になぞるラインと教わりました。
ここからはマニアックなので、読み飛ばして良いのですが、そもそも、鼠径の「鼠」はネズミのことで、「径」は道のことで、「ネズミの通り道」に似ているから昔の中国の医学者がつけたと聞きました。人間では何が通るかというと、ネズミではなく、精巣、つまり睾丸が通ります。生まれる前に精巣はお腹の中でできて、この鼠径にある道(鼠径管)を通って、陰嚢まで降りてきます。これを精巣下降といいます。ちなみにこれが途中でとまると停留精巣といい、これも小児外科で手術が必要な病気です。そして、精巣が降りる時に一緒にお腹の袋(腹膜)も一緒に伸びてきます。サヤみたいな出っ張りなので、「腹膜鞘状突起」(ふくまくしょうじょうとっき)と言います。これは生まれる前に無くなるんですが、おまたに残ってしまうお子さんがいて、そこに腸が入り込むと膨らみます。これを「鼠径ヘルニア」と言います。ちなみに腸が出るほどの袋はなくて、お腹の中にある水(腹水)だけが通って膨れると「水腫」と言います。
鼠径ヘルニアは自然に治る確率が低く、また放っておくと腸がはまり込んで腐ることがあるので(嵌頓:かんとん)、見つかったら早めに小児外科専門施設で手術をすることをお勧めします。
手術の方法は、昔から行われている鼠径部を2cm切って、先ほどの「腹膜鞘状突起」の袋の根元を縛る手術と、腹腔鏡を使った手術があります。NCDの2020年の報告では14,980例のうち、従来の方法が7,237例、腹腔鏡が7,806例で、腹腔鏡の方が初めて多くなりました。どちらの手術方法も傷跡は綺麗で、予定通りであれば2泊3日で退院できます。鹿児島市内では鹿児島大学病院と鹿児島市立病院に小児外科があり、紹介させていただいております。
おまたが腫れたらそのまま放置せず、ぜひ小児科を受診してください。このブログでは伝わりきれないところを直接お話しさせていただきたいです。
すず小児科のオープニングスタッフとして10名の方に来てもらいました。
この採用難・人手不足の中、本当にありがたい話です。
クリニックのオープニングスタッフとしては多めと言われることはあります。
特に5月開業は小児科にとって閑散期なので、「そんなに採用して大丈夫なの?」と心配されることもありますが、自分の考えとしては、新米経営者の小さなクリニックに来てくれるスタッフを大切にするため、余裕のある人員配置をしたいと思っています。
そして冬場の忙しい時期に向けてしっかりとシステムを構築し、自分も経営者として成長して繁忙期を乗り切るために、豪華メンバーを採用させていただきました。
みなさん、想像を超える素晴らしい人材で、自分にはもったいない人たちばかりです。
スタッフ全員、熱量がとても高く、すず小児科を作り上げていくのに誰一人欠かすことができないと思います。
事務さんは全員ベテランでとても優秀で、想定を超える初診患者さんにもきちんと対応してくれます。自分の知らない知識が豊富で、毎日教わることばかりです。この人たちがいなかったらと思うとゾッとします。
また、看護師さんは県内の名だたる大病院経験者の方ばかりですが、小さなクリニックに来てもどんな仕事も嫌な顔ひとつせず、献身的に自分の診療をサポートしてくれています。
そして全員がお互いを思いやり、支え合っています。こんなに幸せなことはありません。
自分も院長として早く成長して、皆さんのご恩に報いたいと思います。
すず小児科の理念は「①子どもを中心に、②利他の心を持ち、③スタッフを大切にする」にしようと思います。
すず小児科のマスコット・子リスの頭文字から考えました。
スタッフの方とよく相談しながら決めたいと思います。

補足:「利他の心」は京セラの創業者で鹿児島大学の先輩である稲盛和夫先生が生前強調されていた言葉で、稲盛アカデミーで教わりました。
「自分だけ良ければいい」という利己の心で判断すると誰もついてきませんし、自分中心なので視野も狭くなり間違った判断をしてしまいます。利他の心は「人によかれ」という心なので、周りから協力してもらえます。視野も広くなり、正しい判断ができます。より良い仕事ができるよう、利他の心を理念に入れさせていただきました。
子どものころ、「もうちょう」ってよく聞く病気の名前でした。
だから医学生の頃は
「『もうちょう』は普通の病気だから、余裕に診断できるし、手術も簡単だろ」
と思っていたものです。
そのころは医者になった後、こんなに冷や汗をかく病気とは思っていませんでした。
すず小児科にはお腹が痛い子どもがたくさん受診します。
実は盲腸はそこまで多くなく、圧倒的に腸炎や便秘といった便通の異常が原因の子が多いのです。
「もうちょう」の正式名称・急性虫垂炎という言葉もだいぶ浸透してきましたが、逆に割合は便通異常が増えて、「もうちょう」は減ってきたように思います。だからといって見逃しは許されません。診断にはエコー(超音波検査)が非常に役に立つんですが、たくさんの患者さんに全員、超音波検査をしていると待ち時間がテーマパークになってしまいます。
そこで小児外科研修時代に尊敬する指導医から教えられた言葉を思い出します。
「すず、アッペ(もうちょうのこと)はどうやって診断する?」
「はい!エコーやってわからなかったらCTです!」
「いいか、すず。まず、お母さんからよく話を聞くんだよ。どこが痛いか、いつから痛いか、熱はないか、下痢はないか。そしてちゃんと子どもをベッドに寝かせて指先に神経を集中させて、丁寧にお腹を触るんだ。座らせたまま、お腹を触っても決してアッペ(もうちょう)の除外はできないぞ。検査するかしないかは、診察の後だ。真剣にお腹を触り続けたら、いつか手に病気を見抜く目が宿るぞ。何事も基本と繰り返しが大事だ。」
昔はお腹を触っても腸炎ともうちょうの違いがよくわからず、検査をして思っているのと違ったということが多々ありました。「ほんと、もうちょうってむずかしい」と思いながら診療していくうちに段々とお腹を触って「もうちょうだ!」とわかる瞬間が増えてきました。その後、自分で手術をして、お腹の中を実際に見てみると、触った印象通りのことも多くなってきて、大変嬉しかったです。
小児科になってメスを握ることは無くなりましたが、実際に診断から手術まで関わる経験ができたことが今の自分にとって財産となっています。これからも「もうちょう」だけではなく、たくさんの病気を早く診断して子どもの辛い症状をよくしてあげたいです。
それから20年以上になりますが、今も指導医の言葉を胸に、懸命に子どものお腹を触る新米開業医の自分がいます。
「じゃあ、横になってー。痛いとこどこかなー?いつから痛い?熱はないかなー、下痢はしてない?」と呼びかけながら。
あおぞら小児科の立元院長が開院前にクリニックを見に来てくださったのですが、その際に点滴台が一台しかないことに気づかれ、開院祝いにいただきました・・・しかも5台!!!
これで全部屋に点滴台を設置できることになり、ハンガーで手作りしなくて良くなりました!
このご恩はしっかりと患者さんにお返しさせていただきます。
当院は診察室が6部屋あり、診察はもちろん、検査や点滴、処置や授乳まで患者さんが移動することなく完結できるように工夫しております。何卒よろしくお願いいたします。

いつも有り難うございます。院長です。
おかげさまで想定を超える多くの患者さまに受診していただき、嬉しく思っております。
健診のお子さまについて、ゆっくりと時間を設けてお話ししたいという思いがさらに強くなりました。
大変ご不便をおかけしますが、14時から15時に乳児健診専用の時間を設けさせていただきたいと思います。
何卒ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
また、予防接種につきましては終日、どの時間帯でも対応可能ですので、ぜひご予約のほどよろしくお願いいたします。
急に体調が悪くなった時に予約が取れない時には、直接病院にお越しください。診療時間内であればいつでも対応いたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。
予想を超えるたくさんの患者さんに受診していただき、本当に有り難うございます。
昨日も大雨の中、多くのお子さまがすず小児科に来てくれました。
心がけていることは子ども一人一人に目を合わせてきちんと挨拶すること。
しかし、どの子も本当に可愛らしいお子さまです。
子どものきつい症状をなんとか和らげたい、保護者の方の不安に寄り添いたいと思って開業したのですが、
本当に開業してよかったと毎日思っております。
今後とも地域の皆様、よろしくお願いいたします。
師長さんから呼ばれて行ってみると、先ほど診察を終えた小学生の男の子が少し気恥ずかしそうに立っています。
「どーしたのー?」と声をかけると
『これ作ったの!あげる!』

とーっても素敵なリスを折り紙で作ってくれました!
「えー!!!嬉しすぎるー!!!飾っていい?」
『うん、いいよー』とニコニコの男の子に癒されます。
開業してよかった!!!